ユーモラスな動きととぼけた顔で一人暮らしの女性にも人気が高い爬虫類のペットです。ヒョウモントカゲモドキは場所もとらず飼育が簡単です。爬虫類やトカゲ飼育の初心者が知っておきたいポイントや飼育の方法をまとめます。
ヒョウモントカゲモドキの特徴と種類
ヒョウモントカゲモドキ(レオパードゲッコー)とは?
ヒョウモントカゲモドキとはその名の通りトカゲではなくヤモリ科の仲間です。基本的なカラーは黄色に黒い斑点があり、豹のような模様からレオパードゲッコー別名レオパと呼ばれ古くからペットとして飼育されてきました。ヒョウモントカゲモドキはイラン東部アフガニスタン南西部パキスタンインド北西部の乾燥した岩場や草地に生息しています。国内でペットとして流通しているヒョウモントカゲモドキはほとんどがCB個体(Captive Bred)と呼ばれる人工繁殖によって生まれた個体です現在では人工的にさまざまなカラーのヒョウモントカゲモドキが生まれています。手に乗せて遊べるのでペットとして飼うトカゲ類では1、2を争うほどの人気を博しています。
ヒョウモントカゲモドキの種類
その人気の理由のひとつにヒョウモントカゲモドキのカラーバリエーションがあります。日本で流通している個体のほとんどは人工的に繁殖飼育されたものでブリーディングの掛け合わせにより、様々な色合いや模様の品種が生まれています。その種類は多く自分の好みにあった個体を選ぶことができます。いくつかのヒョウモントカゲモドキのカラーバリエーションを見てみましょう。
ノーマル
ハイイエロー
スノー
スーパーマックススノー
ハイポタンジェリン
リューシスティック
ブラックパンサー
アルビノ
紹介したものは一部で、まだまだたくさんの種類の個体がいます。種類の違う個体同士の掛け合わせによって、今なお新しいバリエーションが生み出されています。
ヒョウモントカゲモドキの値段と個体選び
ヒョウモントカゲモドキの値段
様々なカラーがあるので値段も幅があります。私がペットショップで見た時はノーマルで¥5,000〜¥10,000、有名なブリーダーさんや発色の良い個体は¥50,000以上するものもいます。爬虫類のイベントやペットショップのセール時であれば少し安く購入できるかもしれません。
個体選びで注意すべき4つのポイント
飼育するヒョウモントカゲモドキを選ぶときに確認してほしいポイントが4つあります。
②四肢と皮膚
③入荷の時期と食欲
④購入前のリサーチ
①の外見はとても重要です。最初からやせている個体は弱っている可能性が高く、立て直す事ができないかもしれません。目で見て元気な個体を選びましょう。特に尻尾が太い個体は栄養分を蓄えており、餌の食いつきも良い証拠です。
②も飼育に重要な要素です。まず歩くときに四本の足でしっかりと体を持ち上げ、お腹の部分を下に擦ったりしていないか、足腰が丈夫かチェックして下さい。また、体表の鱗にしっとりとつやがある個体は健康な証拠です。カサカサになっているような個体は避けた方が無難でしょう。ただし脱皮直前は体色がくすんでいるので問題ありません。脱皮前かどうかはショップのスタッフさんに聞きましょう。
③の入荷時期と食欲があるかどうかですが、これはペットショップで購入する場合に確認します。入荷して時間が経っている個体であれば、ペットショップのスタッフにどんなエサをあげているか、餌食の時間帯、個体の性格等色々聞いてみましょう。
④はどんなペットにも言える事ですが、種類によって飼育環境や必要な飼育器具、エサ等が異なってきます。飼育したい個体を見つけたらまずは自分でネットや本で調べてみましょう。事前に知識をえた上で環境を造って出迎えてあげてくださいね。
ヒョウモントカゲモドキの飼育セット
ヒョウモントカゲモドキの飼育には準備するものが5つあります。他の爬虫類い比べ少ない機材で飼育できることも入門種としてはぴったりです。ただ、飼育者はその個体に快適な環境を作る努力が必要不可欠になります。私が利用したことのあるおすすめの飼育器具を記載していますので参考にしてみてください。
・シェルター / 水入れ
・床材
・プレートヒーター
・温湿度計
飼育ケージ
ヒョウモントカゲモドキの住処となる飼育ケージはそれほど大きなものを必要としません。成体でも幅35cm×奥行25cmもあれば十分ですが、できれば幅が個体全長の倍くらいの長さになるものを選んであげましょう。飼育ケージはプラケースやアクリルケース、ガラス水槽、爬虫類専用ケージ等色々あります。重要なのはフタがしっかり閉まることです。ヒョウモントカゲモドキはあまり立体移動はしませんが、フタが開いていると何かの拍子で逃げてしまう恐れもあります。オススメのケージを紹介しますので気に入ったケージを選んでみましょう。
観賞用水槽(ガラス水槽)
メダカやカメを飼うようなガラス水槽のことです。サイズは小さいもので20cm四方のものから2m近いものまで様々です。ガラスなので観察がしやすく観賞用としてはもってこいのケージです。デメリットとしてはメンテナンスが大変です。私も以前、ピラニアを飼育していたのですが、ガラスなので重く掃除に手間がかかりました。また、石や流木のオブジェを入れた際に割れてしまう可能性もあるため丁寧なメンテナンスが必要です。
アクリルケース
軽くて意外と丈夫で安価なためとても便利なケージといえます。サイズも色々な形があり、爬虫類用のものも販売されています。ヒョウモントカゲモドキの環境によって購入しましょう。デメリットは見た目と傷がつき易いのと、両生爬虫類は上から手を差し出されることを嫌うため、ストレスになる可能性があります。
爬虫類両生類の専用ケージ
爬虫類のショップでも見かける前開きタイプのケージです。素材はガラスとプラスチックで前に引き戸や開き戸があるため、餌食や掃除がとても楽になり ます。爬虫類、両生類の類いは上から手を入れられる事を嫌いますのでこのケージはとてもおすすめです。デメリットは他のケージと比べ値段が少しはるくらいですが何十年も付き合うと考えるととても安い買い物でしょう。私もこれを使ってヘビ、トカゲを飼育していますがメンテナンスがとても楽になってペットとの距離が縮まった気がします。
シェルター / 水入れ
ケージ内には飼育するヒョウモントカゲモドキの大きさに合ったシェルターを設置します。夜行性なので昼間はシェルターで身を隠して眠ります。水入れはケージ内の湿度調整や脱皮前に脱皮殻を柔らかくするためにも使われるため、必ず入れましょう。シェルター兼用の水入れなら、スペースを取らないので便利です。
床材
床材には様々なものがありますが一番取り扱いやすいのがキッチンペーパーやペットシーツなのです。汚れがわかりやすく交換も容易です。もしキッチンペーパーでは見た目が味気ないなという人は木くずのような素材のアスペンチップも取り扱いやすくレオパにも害がないのでオススメです。ヒョウモントカゲモドキは肉食性の動物です。排泄物の大きさは小型種で小指の第二関節程の大きさで、放っておくと強い臭いを放ちます。またダニなどの発生原因にもなります。いくつかの床材をまとめましたので個体に合った床材を探してみて下さい。
ペットシーツ / 新聞紙 / キッチンペーパー
爬虫類の飼育で最もポピュラーな床材です。犬、猫用のペットシーツで構いません。汚れ具合がすぐにわかり、交換もしやすく安価なためヘビの飼育に重宝します。新聞紙やキッチンペーパーでも代用する事もできます。
デザートブレンド
ヒョウモントカゲモドキは砂漠に生息している生き物です。デザートブレンドを使用する事で野生に近い環境で飼育することができます。ヒョウモントカゲモドキが誤って食べてしまったとしても消化されるため個体に優しい床材で、クルミの殻を砕いた素材を使っています。排泄物も見つけ易いため部分的に掃除をしてあげましょう。水分を含んでしまうとカビる恐れもあるので、水こぼし、糞周りは綺麗に取るよう心がけましょう
。
アスペンチップ
木屑のような見た目のアスペンチップは安価で取り扱いもしやすく、見た目もキッチンペーパーよりも良いと言う事で使っている方も多いみたいです。誤飲し辛いので安心です。(ミルワーム等を床に置いた場合食べてしまうかも…)傷み易く取り替える頻度が多いのがデメリット。
人工芝
爬虫類全般に万能だと私は思っています。緑色以外の色も出ているのでレイアウトも雰囲気が出ます。(ちなみに私はグレー)ケージの床のサイズに合わせてカットし、芝の下にペットシーツを敷きます。掃除する際はペットシーツの交換と糞の部分を洗って戻します。人工芝は脱皮不全予防にもなりますし清潔なのでオススメです。
プレートヒーター
ヒョウモントカゲモドキは中央アジアから西アジアにかけての荒野や砂漠などの乾燥地に生息している、夜行性の動物です。そのため温度や湿度の変化に比較的耐久性があり、厳密な管理は不要です。それがヒョウモントカゲモドキの飼い易すさにつながっています。とはいえ最低限の温度湿度管理は必要です。ヒョウモントカゲモドキにとって一番快適な温度は25度から30度です。寒すぎると活動力が落ちて餌を取らなくなり、暑過ぎてもバテて体力を落としてしまいます。温度の自動調節機能のついたプレートヒーターでケージ内の温度を管理してあげましょう。設置はケージの下に半分程度敷き、ヒョウモントカゲモドキが暑さを避ける場所を造って上げましょう。
温度計
プレートヒーターによって温まった大気温を確認するため必要となります。数値がしっかり確認できる見やすい温湿度計を購入しましょう。
ヒョウモントカゲモドキの餌(エサ)について
まずはヒョウモントカゲモドキを飼育した時の給餌をイメージで補食動画を貼りました。(※昆虫が苦手な方は閲覧注意)手から食べてくれるようになったら心が通じ合ったようで嬉しくなりますね!
エサの与え方と給餌の間隔
ヒョウモントカゲモドキは肉食の爬虫類です。おもに昆虫(生きたコオロギ)を主食としますが、マウスや人工飼料も食べてくれます。餌の与え方ですが、コオロギを与える際に大きく分けて2つの方法があります。
② ピンセットで直接与える
①はヒョウモントカゲモドキの活動が活発になる夕方以降に生きたコオロギをケージに数匹放しておく方法です。こうしておくとお腹が空いた時にヒョウモントカゲモドキが自分でコオロギを捕まえて食べてくれるので楽ちんです。翌日になってもコオロギが残っていたら回収して次回の餌の際に放す数を減らしましょう。なくなっていたら増やして餌の量を調整していきます。
②はピンセットで直接与える方法です。ピンセットの先でつまんだコオロギをヒョウモントカゲモドキの目の前で軽く揺らしてあげると食いついてきます。差し出したコオロギを食べなくなるまで変与えてしまって構いません。
給餌の間隔ですが、個体の成長過程に合わせた回数を与えます。餌を与える頻度はベビー個体の場合は毎日か1日おき、生後半年以上のヤング個体なら1日から2日おき、1年以上の成体なったら週に2回くらいで問題ありません。最初から手で食べてくれる個体は中々いないのでピンセットで与えましょう。
ヒョウモントカゲモドキのエサの種類
エサの種類は大きく分けて4種類で、個体によってまたは状況によって使い分けます。エサの種類によって栄養のバランスや与える頻度も変わってきますので、購入時には必ず何を食べていたかを確認してくださいね。
コオロギ
私の苦手なコオロギ…しかしヒョウモントカゲモドキにとっては御馳走です。暖かい時期に野外で採取しておいて与える事もできますが、手間等を考えるとペットショップで購入するのが良いでしょう。価格は1匹数十円ほどで、種類は黒くて大きな「フタホシコオロギ」と薄い茶色で動きの早い「ヨーロッパイエコオロギ」の2種類になります。コオロギは簡単に繁殖させる事ができるので生まれたての小さなコオロギと成体のコオロギを個体のサイズに合わせて与えましょう。コオロギの繁殖はつがいをケージに入れ、温度を25度前後に保つと卵が2,3週間で孵化します。コオロギのみで飼育する場合は必ず栄養不足を補うためにカルシウム剤や総合ビタミン剤をまぶして与えましょう。これを怠るとヒョウモントカゲモドキがカルシウム不足による骨代謝障害になりやすくなってしまいます。とくに成長過程にあるベビーヤング個体や産卵前後のメスには充分にカルシウムを与える必要があります。
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冷凍マウス
マウス=ハツカネズミのことを指しますが、生まれたてのピンクマウスから大きさによってファジー、ホッパー、アダルトと呼び名が変わり、個体の大きさに合わせて与える事ができます。基本的には冷凍してあるマウスをお湯につけたり、自然解凍してから与えます。冷凍のままや解凍が中途半端だと消化不良で 体長を崩してしまうので気をつけましょう。また、栄養価が高すぎるためマウスオンリーの飼育は控えましょう。マウスの価格は大きさによりますが1匹100円〜300円程度です。冷凍保存できるのでエサの維持も楽ちんです。ヒョウモントカゲモドキにはピンクマウスを与えます。ピンクマウスでも大き過ぎる物は半分に切ってあげましょう。
ミルワーム
ペットショップで売られるミールワームには2種類あります。1つは全長3cm前後のゴミムシダマシの幼虫、もう一種は全長5cm前後で数年前から売 られるようになったジャイアントミールワームです。個体の大きさに合わせてあげるミールワームを使い分けます。しかし、栄養価が低くエサのバリエーションの1つとして考えた方が良いかもしれません。カルシウム剤やビタミン剤を振りかけましょう。
グラブパイ
昆虫が苦手で無理…という方、朗報です。このグラブパイはカエルのパックマンフード(カエルの飼育方法で出てきます)同様、ねりねりするだけの人工飼料です。作り方は動画で解説している方がいらっしゃったので参考に。
注意点としては、それなりに臭いはするので作る際はベランダを開けましょう。また、保存が利くと言ってもせいぜい冷蔵庫で一週間程度、それ以上ではカビが生えるのでやめておきましょう。グラブパイのみの飼育を行っている方も居るみたいですが、可能であれば昆虫も一緒に与えられればベストだと思います。
ヒョウモントカゲモドキの飼育には給餌意外にも色々なお世話が必要になります。
水入れの水交換
例え汚れていなくても2日から3日に1回は交換します。特に夏期は水もすぐに傷んでしまうため、こまめにチェックしましょう。
排泄物の処理
フンや尿はみつけたらこまめに取り除きます。ヒョウモントカゲモドキは尿を液状ではなく白っぽい塊で排泄します。あまり床材を濡らさない分お手入れが楽ちんですが、最低でも週に1度は交換し2週間に1度くらいはケージを水洗いしてあげましょう。
霧吹き
乾燥している環境を好むヒョウモントカゲモドキですがベビーからヤングにかけての個体は自分ではなかなか水場を見つけられないこともあり、時折霧吹きしてあげると水滴を舐めて水分補給をします。ただしその際はケージ内が湿りすぎないように注意が必要です。
ヒョウモントカゲモドキの脱皮と健康チェック
脱皮について
ヒョウモントカゲモドキは頻繁に脱皮を行います。皮膚の色が白濁ってきたらその合図です。時期が来ると脱皮を行いますが、ヘビと違いヒョウモントカゲモドキは脱皮した皮を自分で食べてしまいます。しかし、しっかりと脱皮ができていないと鼻先や足先に古い皮が残ってしまうことがあります。その場合ピンセットで取り除いてあげたり、ぬるま湯につけて皮膚をふやかしてから取り除いてあげましょう。
健康チェック
飼育していく中で個体の健康状態をチェックするにはどこに注意しながらお世話をしていけば良いのでしょうか?いくつかのポイントを記載しましたので確認しながら飼育に望んでみて下さい。
② 食欲の有無
③ 体型が痩せすぎていないか
④ 目の周りに異常はないか
⑤ 体の表面に異常はないか
⑥ 体が変形していないか
ヒョウモントカゲモドキのハンドリング
ペットを飼育する醍醐味であるハンドリングは飼育者のモチベーションにも繋がる大切なスキンシップです。私も飼育しているヘビとよくTVを見ています。(ヘビは絶対見てないが…)しかし爬虫類は猫や犬と違い慣れることはまずありません。スキンシップを図るにも正しい方法を覚えておきましょう。
ヒョウモントカゲモドキは人間とのふれあいを望んでいる訳ではありません。触られてもストレスを感じ辛い事は確かですが、過度のハンドリングはNGということを覚えておきましょう。ハンドリングの方法はまず人の手に慣れさせることが重要です。まずは、体を手で持ち上げる際にお腹の下に手を添えるようにして差し込み、4本の足が手のひらに残るようにして持ち上げます。足元が安定することでヒョウモントカゲモドキも安心して手の平に乗っかっていられるのです。嫌がるようであれば急がず徐々にならしていくことにしましょう。
NGなハンドリング方法
② 背中から鷲掴み
③ 尻尾を持ってぶら下げる
③のしっぽを持ったハンドリングは特に注意が必要で、ハンドリングに慣れていない個体は自衛のために尻尾を切ってしまうこともありますので絶対にやめましょう。
いかがでしたでしょうか?私もグラブパイを見てからヒョウモンを飼育しようかすごく悩んでいます(笑)10年以上生きる種類ですのでしっかり環境を整えた上で迎えて上げて下さい。繁殖については機会があればまとめたいと思います。